チョコレートをもらった話。

読んでくださる皆さま、こんにちは。
めぐです。


今回は、私が高校の時の話ですよ。

移動販売車、というんでしょうか。
食品や日用品を積んで、住宅地に販売に来るトラック。
ご存知?

うちの田舎にありまして、決まった日に回ってくるんです。
個人商店のトラックが。

おっちゃんが「何かいるかねー」と声をかけて、「いる」と言えば庭先にトラックが停まる。
その場で選ぶこともあれば、「お茶でも」となり、いくつかの商品を家に持ってきて、世間話をしながらやりとりをする。


その日は祖母が「お菓子を買う」と言い、「お茶でも」となりました。
たまたま家にいた私は、祖母にお茶を用意するよう言われ、耳が遠い祖母の通訳として同席することになったんですね。


で、おっちゃんが話題に出してきたのが、私の父のことですよ。


おっちゃんが、私に向かって言うのです。


どこそこで見かけた、あれは女と待ち合わせしとるとこだろう。
だれそれが、女と一緒に歩いたところを見たと言っていた。
うんぬんかんぬん。


私は、
うーん、困ったな。
その話を振られてもなー、どう反応すればいいんだろう?
と思いながら聞いていた。


私は父に浮気相手がいることはだいぶ前から知っていたし、田舎だから噂になってるだろうことも承知してた。


だからそれはどうでもいいんだけど、こんな時の対処法が分からん。
おっちゃん、同級生のお父さんだし。
無視するのもまずいよね。うーん。


結局、「あいまいに微笑んどけ作戦」を実行。


あとは祖母にお菓子の説明をしてました。
耳遠いから、大声で。
「このお菓子はー、中にねー、な・か・に、クリームが入っとるって!!クリーム!」
「これはー、固いんだって。か・た・い!」
「こっちは、・・・」


そしたらさ。
その様子を見てたおっちゃんがさ、
「おまえ、いい子だな」っつって、商品のチョコをくれたの。
私は、とりあえず「えへ?」と笑って、お礼を言って受け取ったの。


それを、次の日学校で、友達に話したのね。
「おっちゃんに絡まれて、適当に微笑んで、ばあちゃんにお菓子の説明してたら、チョコもらってラッキー」みたいな感じで。


そしたら、友達が怒った顔で、
「なんだそいつ、ぶっころす」
って言ったの。


私は、ポカーンとしてた。と、思う。


「そんなんでチョコもらえたの?儲けたじゃん!」て返ってくるかと思ってたから。



だから、その友達の反応は印象に残ってて、ずいぶん経ってから、もう何年も経ってから、「ああ、私は怒ってよかったのか」と気がついた。


当時の私はそんなこと全然分からなくて、喧嘩っ早い友達だからそんなこと言ったのかな?くらいに思ってた。

怒ってもいい話だった、と気づいてからしばらくは、思い出してはちょいちょい腹が立ってたなあ。



あ、もしかして、その友達は、
私のために怒ってたのか。

と気づいたのは、更に後になってからだった。
正直に言えば、この記事を書いているときだった。
すまぬ、友よ。愛してる。


今なら、そうねえ。
今の私がその場にいたら、
まず、おっちゃんに「世間話ってそれかよ!」って突っ込むわね。


それから、
「高校生にする話?
 あんたの息子と同級生よ?小学校から知ってる子でしょ。
 そんな話するなんて、どういう了見なわけ?」
って低く囁くように言うかしらね。


んー、理想としては、凄みを感じさせるような笑顔ができればいいんだけど、練習が必要かしら。ふむ。


でさ、そのおっちゃんは軽率だと思うけど、悪人ではないのよね。
いや、ちょっとくらいの悪意はあったかも知んないけど、当時の私はうまく躱したよね。


ということで、
おっちゃんに絡まれてチョコもらった話は、

私は怒ってもよかったんだな。
私は友達に大事にされてたんだな。
私は結果的にうまく対処したな。

という気づきが加わり、「結局、損はしてねーな!」という所に着地しました。






思い出は、変わってゆく。

もし、あなたにも引っかかっている思い出があれば、ときどき取り出して、ながめてみるといいかも。
隠れていた色合いが、見えてくるかもしれないですよー。


ということで、「チョコレートをもらった話」を
読んでくださって、ありがとう。